新たにテレワーク(リモートワーク)を導入しようとする事業者や、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急いでテレワークを導入したものの、導入について十分な検討をする時間がなかった事業者向けに、テレワークに伴って生じうる労務・法務・情報セキュリティに関する問題点を簡単に記載致します。今回は、テレワークによって通勤手当が発生していない従業員の通勤手当はカットして良いのか、テレワーク(リモートワーク)の導入手順時の賃金のギモンについてをご紹介致します。
テレワーク勤務の場合の通勤手当
テレワーク、特に在宅勤務の場合、通勤が発生し無くなれば通勤手当の支給を停止することが出来るかという質問も多く聞きます。
通常、通勤手当については賃金規定において「で通勤手当は、電車、バス等の公共交通機関を利用して通勤する者に対して1か月定期券相当額の上限を30,000円として支給する」といった記載をしているかと思います。通勤手当は他の手当と異なり、定期券相当額の実費分として支給している企業が多く、賃金規定にも「公共交通機関を利用して通勤している者に支給」と明確にしてあるのであれば、通勤が発生しなくなった場合には支給を要しないと考えられます。また、より一層その趣旨を明確にするために下記のような文言を追記しておくといいと考えられます。
第●条(交通機関による通勤手当の支給)
- 通勤手当は、電車、バスなどの公共交通機関を利用して通勤する者に対して、1カ月定期券相当額の上限を30,000円として支給する。
- 第1項の規定に関わらず、月の中途で入社・退社した者やテレワークを行う者に対しては実費と比較して安価な方を支給する。
- 欠勤、休職、テレワークが長期にわたると会社が判断した場合、通勤手当の支給は行わらないものとする。
ただ、実際には実費分しか支給しないとする運用を行う場合には、既に定期券を購入している従業員も言えるかもしれないため、実費支給とすることを開始する1カ月前等余裕を持ったアナウンスを行うことが、従業員の納得感を得るためにも必要かと考えられます。また、新型コロナウイルスへの対応で急遽在宅勤務を開始するといったケースでは、こうした就業規則上の明記が無いケースもあるかもしれません。この場合、規定があるケースよりも、慎重に進める必要があります。
まずは実費支給とすることに従業員の個別同意を得る等、従業員の理解を得て進めることが必要と考えられます。
まとめ
上記までにご紹介致しました通り、テレワークを実施については労務時間管理を変更する場合はそれに伴った対応が必要となります。テレワークの推進には、就業規則等の制度面だけでなく、従業員のITリテラシー向上も必要です。この機会にITスキルの可視化を行ってみてはいかがでしょうか?