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労務の基本と1年の流れ

 今回はバックオフィス業務である労務業務の基本と1年の流れについてをご紹介したいと思います。労務業務は、法律に基づいて職場環境を整備していく役割があります。労務は、従業員の給与や勤怠、福利厚生などに関する管理全般を指し、企業において欠かせない業務のひとつです。また、近年の「働き方改革」の推進によって、労務管理の役割は更に重要視されるようになりました。そんな労務業務の基本と流れついてご紹介致します。

 

働く上での法律や社内ルールを理解し、職場環境を整える

 あくまでも基本をご紹介致しますので、細かくは異なる場合があることはご了承ください。労務業務を大きく分けると下記2つに分けられます。

①法律に基づいて毎月決まった仕事

 労務の仕事は人事の仕事にもある給料計算や労働時間管理、健康診断などは、法律と会社独自のルールである就業規則がもとになります。そんな人事の仕事の基礎となる「就業規則」を作成し整え、トラブルを防止するために関わっているのが労務の担当者です。そのため、労務は人事と異なり、毎月の決まった業務というものはあまりなく、年間を通して決められた書類の提出を除き、その都度トラブルに対応したり、ルールの見直しをすることがメインになります。就業規則は働く上での会社のルールを定めたものですが、労働基準法をはじめとする法律を全てクリアしていることが求められます。そのため法律の改正があった場合は、就業規則も該当する箇所を変更し、労働基準監督署に届出をする必要があります。会社独自のルールが変わった場合も同様です。通常の仕事は先輩社員から教えてもらえますが、法律の改正情報は、労働基準監督署やハローワークに手続きに行くたびにリーフレットが置いてあったり、会社に通知がきたりするのでなるべく定期的に確認するようにしましょう。そして、就業規則が社内で正しく運用されているか、問題がないかを常にチェックするのも労務の大切な仕事です。

②プラスアルファの仕事

 人を雇用している以上、様々なトラブルが起こります。能力不足や不正、勤務態度不良といった「会社が適切な対応を取らなかったために起こるケース」が考えられます。もちろん、担当者一人ひとりが対応することはありませんが、ほうりつをしっかりと理解した上で、人事データを検証したり、適切な流れに沿って一つひとつの事案に対応していく必要があります。

 

労務の仕事に求められる資質

 労務の仕事に就くということ、それは、人事の仕事は手順や方法を先輩から指導してもらいながら覚えていくことが出来ますが、労務の仕事は法律の改正などにも対応しなければならないため、会社の誰もが分からないことを自分で情報を取りに行く姿勢が求められます。だからと言って一から労働に関する法律を学ぶ必要はなく、役所に行くたびに新しい情報がないかを確認したり、もっと理解を深めたい場合は「社外のセミナー」等に参加して勉強するようにします。労務に携わる人は、労務トラブル(従業員と会社間のトラブル)が起きた時に解決をしたり、未然に防ぐという翁役割を担っていますが、問題そのものに関わるというよりも、普段から整備しなければならない書類等をしっかり整え、不備の無いようにしておくことがトラブルを防ぐ上でも、起きたトラブルを早期に解決する上でも重要なことです。

 

労務の仕事一覧及び1年の流れ

労務の仕事一覧

就業規則の整備

労働法の基準をクリアした上で、会社独自の働き方に合わせたルールを定めます。事業展開によって新しい業種に適した働き方のルールが必要になったり、規模の拡大・縮小があれば働き方も変化します。また法改正に対応する必要もあり、その都度、規定を変更しながら正しく運用できるように管理し、全従業員に周知します。

労働時間の管理

法律で定められている労働時間を守るだけでなく、給料や健康管理も連動して考えます。また単にタイムカードを確認するだけでなく、打刻が本当に正しいのか、外勤中心の営業の仕事や管理職の労働時間をどのように把握するのかといった、ルール作りも必要になります。

労災対応

プライベートの病気やケガと異なり、業務中の事故や病気は会社の責任が問われます。大きな事故だったり死亡してしまうようなケースは、労務トラブルや家族への賠償といった問題も生じるため、慎重な対応が求められます。

労務トラブル対応

セクハラ・パワハラ・マタハラといった様々なハラスメントや未払い賃金や過重労働といった法律違反など、労務トラブルは多岐にわたります。トラブルを未然に防止すると同時に、起きてしまったトラブルを円満に解決するための対応をします。

調査対応

労働基準監督署の調査にも様々な種類があります。定期的に行われる調査の他に、従業員や退職者からの申告に基づいて行われる調査、労災が起こった後の調査など、場合によっては大きな問題に発展するケースもあるため、普段から労働法に関するコンプライアンス意識を持ち続けることが重要です。

労務の1年の流れ ※4月を基準とする場合

1月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 就業規則改定事項
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
2月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 就業規則改定事項
  • 次年度の年間カレンダー作成
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
3月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 改定した就業規則の説明・意見聴取
  • 36協定の作成・従業員代表の押印
  • 有給休暇の次年度の時季指定
  • 新入社員の労働条件通知書の確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
  • 就業規則の届出
  • 36協定の届出
4月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 新入社員に就業規則等の説明
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
5月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
6月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
7月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
8月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
9月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
10月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
11月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認
12月
  • 新入社員、契約更新者、条件変更者の「労働条件通知書」確認
  • 従業員の労働時間の確認
  • 長時間労働の該当者と業務の確認
  • 有給休暇の取得状況確認

 

まとめ

 上記までにご紹介致しました通り、労務の仕事は、法律に基づいて職場環境を整備していく仕事です。労務管理とは従業員の「労働」に関する業務であり、「ヒト」に関する業務を対象とする人事管理とは異なります。また、労務管理には給与計算、勤怠管理、社会保険・労働保険手続き、福利厚生業務、安全衛生管理などが含まれます。労務の仕事を円滑に行うには、安全衛生や社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、労務担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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