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YouTubeで中継する等して「バーチャル株主総会」開催可能か

 新たにテレワーク(リモートワーク)を導入しようとする事業者や、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急いでテレワークを導入したものの、導入について十分な検討をする時間がなかった事業者向けに、テレワークに伴って生じうる人事評価・労務・法務・情報セキュリティに関する問題点を簡単に記載致します。今回は、テレワーク導入にあたって、YouTubeで中継する等して「バーチャル株主総会」を開催することについてご紹介致します。

 

バーチャルオンリー型株主総会の開催可否


 物理的なリアル株主総会の会場を一切設けない「バーチャルオンリー型株主総会」の開催可否は会社法では定められていませんが、否定的な見解が有力です(経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)に対するご意見の概要及びそれに対する回答」)。一方、小規模な最低限度の会場を設けつつ、株主に対してビデオ会議システムなどを通じた参加や出席をお願いするハイブリッド型の開催であれば可能であるとされています(経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」)。

 

参加型バーチャル株主総会


 ハイブリッド型バーチャル株主総会の方法にはいくつかの方法が考えられます。一つは、リアル株主総会の場にいない株主が、会社から通知された固有の認証手段を経て、動画配信サイトなどで配信される中継動画を傍聴する「参加型」です。

 参加型では、リアル株主総会の来ていない株主は株主総会を傍聴しているだけであり、株主総会に「出席」している扱いにはならないことに注意が必要です。そのため、参加型バーチャル株主総会において、遠隔地等にいる株主は、当日に質問(会社法314条)や動議提出(同法第304条等)を行うことはできません。

 また、議決権の行使も、書面や電磁的方法による事前の議決権行使や、委任状等で代理権を授与する代理人による議決権行使を行うことが必要です。当日にインターネット等を通じた議決権行使を認めることも考えられますが、株主総会に出席しない株主のための電磁的方法による議決権行使においては、株主総会の日時以前の特定の時を定めるとされているところ(同法第298条1項4号、同法施行規則第63条3号ハ)、「株主総会の日時」が株主総会の開始時(同法第298条1項1号)を指すのか、裁決時と定めることも可能かで見解に争いがあるため、注意が必要です(「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」脚注6)。

 

出席型バーチャル株主総会


 当日の議決権行使を認めるバーチャル株主総会として「出席型」があります。出席型バーチャル株主総会において遠隔地などにいる株主が議決権を行使する場合、参加型と異なり、この議決権行使はあくまで当日の会場で行使された議決権であり、電磁的方法による事前の議決権行使ではないことに注意が必要です。したがって、参加型バーチャル株主総会では利用可能な動画配信サービスであっても、即時かつ双方向性のある株主総会では利用できないことになります。

 そのため、通信障害などにより、質問や動議提出の機会が与えられなかった場合や議決権が行使できなかった場合にはすでに議決権の行使が終わっている「参加型」と異なり、株主総会の決議の方法の瑕疵(同法第831条1項1号)と評価される恐れがあります。よって、通信障害等に備えたバックアップの手段を用意するなどして、決議取消自由に当たらないよう留意する必要があります。

 また、出席型バーチャル株主総会の場合には、当日の議決権行使を行う株主の認証の確保をセキュアに実施できないときは、なりすましや不正投票が発生し、決議取消に至る恐れがあります。残念ながら2020年6月、出席型バーチャル株主総会を安全に実施するための専用のオンライン・プラットフォームが存在しないため、汎用のツールを組み合わせた環境構築と運用を検討する必要があります。自身での環境構築が難しい場合は、参加型バーチャル株主総会が実質的な唯一の選択肢となります(澤口実編著「バーチャル株主総会の実務」39ページ)。

 

バーチャル株主総会の議事録


 バーチャル株主総会であっても、株主総会議事録の作成は必要です(同法38条1項)。株主総会議事録については署名、記名押印、電子署名は求められていませんが、株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合の株主総会議事録(商業登記法第46条)については、議長と出席取締役の記名と印鑑証明書(同法施行規則第61条4項2号)が、商業登記申請の関係で必要であることに注意が必要です(平成18年3月31日法務省民商第782号46ページ)。

 

まとめ


 上記までにご紹介致しました通り、株主総会をYouTubeで中継する等して「バーチャル株主総会」を開催することは一定条件を満たせば可能です。小規模な最低限度の会場を設けつつ位でお会議システムなども利用する「ハイブリッド型」の開催を行うために必要事項を準備しましょう。

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