今回はバックオフィス業務である退職者の退職金の支払いについてご紹介致します。退職金の支払いは退職日以降とするのが一般的ですが、その支払い時期については、法律上特別な規定はありません。 労働基準法第23条では、労働者が退職した場合、退職者から請求があった場合には7日以内に賃金等を支払わなければならない旨を規定していますが、この規定は別に支払い時期を定めた退職金には適用されません。今回はそんな退職金の支払いの基本的な流れについてご紹介致します。
退職金の支払い
退職金を支払うときは、退職金だけで所得税と住民税の納税を完結させます。
- 用意する書類
・就業規則
・役員退職金規定
- 作成する書類
・退職所得の需給に関する申告書
・退職所得の源泉徴収票
- 必要があれば作成する書類
・支払調書合計表(役員のみ) - 交付先および提出先
・退職所得の源泉徴収票:本人(全員)、最寄りの税務署及び本人所在地の市区町村(役員のみ)
・支払調書合計表:最寄りの税務署
- 退職金の支給額を決める
退職金の額は、会社が自由に決めることが出来ます - 「退職所得の需給に関する申告書」を提出してもらう
退職金にかかる税金の元となる書類 - 退職金の所得税を計算する
給与所得と合算せずに単独で計算する - 退職金の住民税を計算する
通常の住民税とは別に、会社が自分で計算する - 退職者に源泉徴収票を交付し(全員)、税務署や市区町村に提出する(役員のみ)
1カ月以内に作成し、本人に送付する。役員に限っては、税務署や市区町村にも提出する - 支払調書合計表を税務署に提出する(役員のみ)
役員の場合は、翌月15日までに源泉徴収票を添付して、最寄りの税務署に提出する - 控除した所得税と住民税を納付する
所得税だけでなく、住民税も会社が税額を計算し、原則、翌月10日までに納付する
退職金の基本を確認する
- 退職金とは
退職を原因として支給する給与のことです。労働法で支給が義務付けられているわけではありません。 - 役員退職金の決め方
役員退職金が不相当に高額とみなされると、法人税の損金に算入されません。実務の世界では、「功績倍率方式」という方法を用いて、支給額を計算します法律上の決まりはありませんが、1.5倍から3倍程度が一般的です
功績倍率方式による役員退職金の計算方法
役員退職給与の適正額=最終月額報酬×役員在任年数×功績倍率 |
未払い退職金の計上時期退職金は、退職当日に支払うとはかぎりません。①の場合も②の場合も、会社が任意にいずれかを選ぶことが出来ます。
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まとめ
今回は退職者の退職金の支払いについて説明をしましたがいかがでしたか。退職金の支払時期については、通常の賃金とは異なり高額になることから、「会社で定めた時期に支払可能」ということが判例でも確立されています。従って、その場合は、就業規則に定められた通り「原則1か月以内に支払う」ことであれば問題がありません。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。
下記で人事の退職に対しての基本についてまとめ記事を作成しておりますので、ご参考までにご一読ください。
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