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ダイレクトリクルーティングについて

2010年ころから従来の採用手法と異なり「攻めの採用」と言われるダイレクトリクルーティング。労働人口の減少や現在の売り手市場の加速化といった外部環境の変化に加え、SNSをはじめとしたITツールの発達により、日本でも普及が進んでいます。本記事ではそんなダイレクトリクルーティングについてご紹介致します。

ダイレクトリクルーティングについて

ダイレクトリクルーティングとは

ダイレクトリクルーティングとは、従来の採用方法に比べて企業側が主体的に求職者にアプローチをとる採用方法です。 従来の採用では、多数の媒体を利用し、求職者の応募を待つ方法が一般的でした。一方、ダイレクトリクルーティングでは、企業側がデータベースやSNS、イベントを通して求職者にスカウトやオファーを送ったり、媒体を通さずに応募を直接受け付けたりすることで採用を行います。

海外では主流ですが、日本では、ビズリーチ社が日本に持ち込み、「攻め」の採用手法として急速に広まっています。ダイレクト・リクルーティングは和製英語で、このような方式は英語ではDirect sourcingと呼びます。

ダイレクトリクルーティングの普及背景

ダイレクトリクルーティングが日本で普及した背景を、「外部環境変化の加速」と「ITツールの発達」の2側面から解説していきます。

 ①外部環境の急速な変化

今までは、求人広告や人材紹介サービスを利用し、転職希望者からの応募を待つ採用手法が主流でした。しかし、現在では日本の少子高齢化社会による人口減少により働き手の母数自体が減少していること、インターネットの普及や市場環境の変化によりビジネスモデルが短命化していること、売り手市場が加速し人材の流動性が高まっていることなどから、日々一刻と移り変わりゆく中で、事業戦略を推し進める上で欠かせない優秀な人材をいち早く確保する重要性が増しています。

これまで日本においては新卒一括採用を主たる採用方針として持ち、入社後も総合職としてジョブローテーションなど時間をかけ育成していくスタイルを取っていましたが、前述のような急速に周辺環境が変わっていく中では、新卒においては「ポテンシャルや過去実績」を、中途領域においては「これまでの経験(キャリア)」を元に、素養や能力の高い人材をいかに組織に迎え入れられるかが事業成長を果たす上で肝になりつつあります。

 ②ITツールの発達

現在日常的に用いられているブログサービスやinstagram、Facebook、LinkedIn、Twitterが普及する以前は、個人を特定し、コミュニケーションを継続的に取ることは非常に難しい状況にありました。

海外では「ミートアップ」など、積極的に社外の人材とコミュニケーションを取り仕事に反映させる習慣がありましたが、日本においては長らく会社の中で関係性を閉じているケースが多く、優秀な個人を一企業が見つけてくる事は困難だったのです。

しかし、先のようなITツールの発達により個人の情報発信障壁が下がったことはもちろん、個人間のコミュニケーション障壁も若い世代を中心に薄くなっていき、最近ではむしろ活発化している傾向にあります。

従来の採用手法(守りの採用)の違いとは

「攻めの採用」と言われるダイレクトリクルーティングが従来の採用手法と根本的に違うのは、「採用母集団を自社で形成していく」という点です。

 

たとえば、求人広告会社や人材紹介会社に依頼する従来の方法だと、求人広告媒体の運営会社や仲介会社に応募者の集客=採用母集団を委ねることになります。

 

従って、「実際に何名の応募者を集めることができるか」、さらには「自社の採用ターゲットにマッチした人材を何名確保できるか」を自社でコントロールすることが難しいのです。

 

それに対してダイレクトリクルーティングは、人材データベースに登録して自らデータベースの中から人材を探したり、SNSなどでの情報発信やイベントを企画運営して応募者を集めるなどで母集団を形成していきます。

 

自ら求職者へのアピール手段・アプローチ方法を選定して実施していくので、「何をどこにどの程度行うか、採用したい人材にどういったアピールが響くのか」などを自社で考え、検証し、実践していくことができます。

 

すぐには高い成果が得られないかもしれませんが、さまざまな手法で何度も検証を繰り返していくうちに精度を高められますし、どのような母集団を形成するかを自社でコントロールできるのです。

ダイレクトリクルーティングとソーシャルリクルーティングの違いとは

「ダイレクトリクルーティング」とは、一般的にダイレクト・ソーシングを用いてアプローチした後の選考プロセスまで含めた採用活動のことを指します。

一般的に「ダイレクト・ソーシング」は母集団形成フェーズを、「ダイレクトリクルーティング」はその後の選考フェーズまでを示す場合で使われています。

しかし、最近ではあまり別意味で使われることはなく、「第三者を介さずに、直接候補者へアプローチできる攻めの採用手法」という意味で使われるケースが多いです。

また、「ソーシャルリクルーティング」とは、ダイレクト・ソーシングの中でも、FacebookをはじめとしたSNS(ソーシャルメディア)を活用して候補となる人材に直接アプローチする採用手法のことを指しています。

ダイレクトリクルーティングのメリット

①直接アプローチするため、採用候補者の入社意向を高めやすい

企業の人事・採用担当者が自ら転職市場から採用候補者を探し、事業戦略や業務内容、社風、キャリアなどの魅力を採用候補者ごとに変えて伝えられます。その人のどんな経験を魅力に感じているのか、会社のどの部分がマッチするのか、直接説明することができるため採用候補者の入社意欲を高めやすいと言えます。

②1人あたりの採用費用が抑えられる

通常、人材サービス会社が行っている求人サービスを利用すると、求人広告掲載費や紹介決定報酬費が都度発生します。しかし、スカウトメール型のダイレクト・ソーシングサービスを活用して採用を行うと、前述サービスに比べて長期的に見たときに採用費用を削減できる場合もあります。

③急な人材募集でも、すぐスタートできる

人材サービス会社に依頼する場合は、採用要件の確認、稟議決裁、求人票や原稿チェック(現場取材設定)…など、募集開始まで時間を要しますが、ダイレクト・ソーシングの場合は、自社が欲しいタイミングで募集開始ができるので、急な採用でもスピーディに進められます。

④自社採用力を高めていくことができる

企業自ら採用活動を進めるため、取り組みごとの効果がすぐに分かり分析しやすくなります。つまり、自分たちの何が課題なのか、どうすれば改善されるのかPDCAを回しやすくなり、企業独自の採用力構築につながるのです。

 

ダイレクトリクルーティングのデメリット

①採用候補者を自ら探すことや、求人票・スカウトメールの作成などの工数がかかる

既存の採用手法の多くは人材サービス会社のサポートのもと、採用候補者の推薦や応募を待ってから、選考を行います。一方、ダイレクト・ソーシングの場合、自ら採用候補者を探し、求人票やスカウトメールの文面の作成などの作業工数が発生することになります。

②長期的な活動を視野にいれることが重要

ダイレクト・ソーシングはすぐに効果が出ないこともあります。自社の採用力によって採用成功の確度が変わるため、採用において何が課題となっているのか、浮き彫りになることも多いです。

スピーディに開始できることはメリットですが、改善・検証しながら長期的な視点で取り組むことも必要です。

 

ダイレクト・ソーシングは、人事・採用担当者が求める人材を自ら探し出し、母集団を形成することが可能です。しかし、採用候補者を自分たちで探し出す、そしてその人の入社意向を醸成する工数がかかるのも事実です。既存の採用手法も上手に活用しながら、取り入れていくとよいでしょう。

 

まとめ

ダイレクトリクルーティングは、海外では既にスタンダードとなっています。近年、時代の流れやITツール革新の影響もあり、日本でも急速に普及しています。

他採用手法と比べてメリットも多いですが、生半可な使い方では効果が出にくく、導入に際してはよく検討することが重要です。

サポート機能があるサービスを利用することで、デメリットを軽減することができます。

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