今回はバックオフィス業務である経理のお金の管理、小切手・手形の管理についてご紹介致します。最近では少なくなりましたが、業種によっては手形・小切手を用いて入金や出金を行う会社もあります。この手形・小切手も最終的には銀行で決済されることになりますので、その管理も預金管理の担当者があわせて行うことがあります。業務内容としては、受け取った手形・小切手の銀行への取立依頼、支払いのための手形・小切手の振り出し、そしてそれらの手形・小切手の帳簿への記録などです。これから経理担当者として働きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。今回はそんなお金の管理についてご紹介致します。
小切手の管理
小切手は、現金の代わりに決済に使われるものです。
- 作成する書類
・当座預金出納帳
- 管理する書類
・小切手帳
- 用意する書類
・当座照合表
小切手を使う際の注意点
- 小切手をもらったとき
小切手を受け取ったら相手に領収書を渡します。小切手を換金できる期間は振出日の翌日から10日間までです。当座預金口座が無くても、普通預金口座でも入金できます。
●小切手を受け取った際の仕訳例
借方 貸方 現金 1,000,000 売掛金 1,000,000 ●口座に入金した際の仕訳例
借方 貸方 普通預金 1,000,000 現金 1,000,000 - 小切手を振り出すとき
金額は、チェックライターを購入して印字するか、「壱、弐、参・・・」といった漢数字を使って手書きで記入します。●小切手で支払った際の仕訳例
借方 貸方 買掛金または仕入 500,000 当座預金 500,000
手形の管理
手形とは、将来、指定した期日に支払うことを約束する書面のことです。
- 作成する書類
・受取手形帳
・支払手形帳 - 管理する書類
・手形帳
手形を使う際の注意点
- 手形を受け取ったとき
手形を受け取ったら、相手に領収書を渡します。「社名」「金額」「日付」などに記載ミス多漏れが無いかを確認し、コピーを取ってから銀行に持ち込みます。手形に「裏書き」されているかいないかも重要な情報なので、裏面に何も書かれていなくても、必ず表面と裏面の両方をコピーします。手形を銀行に持ち込むのは、支払期日前であれば、いつでも構いませんが、支払期日を含む3営業日前でないと、現金化できないので注意が必要です。銀行へ取立を依頼するときは、手形の裏書欄に、「社名」「住所」代表者名」の入ったゴム印及び銀行員を押印してから銀行に持ち込みます。
●手形を受け取った際の仕訳例
借方 貸方 受取手形 1,000,000 売掛金 1,000,000 ●手形が決済された際の仕訳例
借方 貸方 普通預金 1,000,000 受取手形 1,000,000 - 手形を発行するとき
専用機械であるチェックライターまたは手書きで「壱、弐、参・・・」などの漢字を使って記入します。手形帳と手形の「耳」の間のミシン目に割印をしてから、手形を切り離します。
●手形を振り出した際の仕訳例
借方 貸方 買掛金または仕入 500,000 支払手形 500,000
知って得する手形のからくり
- 手形の割引とは
支払期日までの期間が長いので、期日より前に現金化するために、金融機関で換金してもラうことが出来ます。
●手形を割り引いた際の仕訳例
借方 貸方 銀行預金 450,000
手形売却損 50,00割引手形 500,000 - 手形の裏書とは
支払期日の前でも、第三者へ譲り渡せば支払いにあてることが出来ます。第三者へ譲渡することを「手形の裏書」といいます。手形の裏面に「表記金額を下記被裏書人又はその指図人へお支払いください」という文章(通常は印字されています)と、「相手の会社名」を下記、「署名・捺印」して、必ず両面をコピーしてから相手に渡します。●手形を裏書きした際の仕訳例
借方 貸方 買掛金または仕入 500,000 裏書手形 500,000 - 手形の不渡りとは
預金残高が不足して、手形の決済が出来ないことを「手形の不渡り」といいます。不渡りを出したからと言って、即倒産するわけではありませんが、すべての銀行にその情報が届くので、今後、記入機関からの借り入れや手形の割引を受けることは難しくなります。
電子記録債権とは
手形の売掛金に代えて、債権を電子的に登録し、金融機関を通じて資金を回収する新しいタイプの金銭債権です。自動的に決済されるため、売掛金のように約束通りに入金されないリスクもありませんし、電子データなので手形のような紛失リスクもありません。電子債権を利用するためには、金融機関の窓口から「でんさいネット」に申し込みます。債務者側から電子債権を使って支払うという意思表示をするか、債権者側から電子債権で受け取りたい旨を請求し、承諾を得られれば決められた日に決済されるので簡単です。
まとめ
今回はバックオフィスである経理業務の小切手・手形の管理について説明をしましたがいかがでしたか。小切手には、原則として受取人や支払期日の制限はありません。銀行は小切手の持参人に記載された金額を支払います。従って小切手を作成して相手に渡す(振り出す)時点で、自分の口座に支払い可能な残高があることが必要です。手形には、印紙税の負担、盗難・紛失、偽造のリスク、物理的な手渡しが必要、といったデメリットがある一方、裏書や割引等によって早期に資金化できるメリットがあります。そうしたメリットを活かし、デメリットを解消する新たな制度として「電子手形」が2009年11月からスタートしました。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういったお金の管理の仕事を円滑に行うには、簿記の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与経理担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。