経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。税務申告は企業が果たすべき責務であり、正しく行うことで社会的信頼を得ることができます。しかし税務申告が重要である理由の最大のものは“税務調査を避けるため”でしょう。申告した税金額に問題点が発見されると、税務署から強制調査や任意調査を受けることがあります。調査が入ると提出された情報に誤りや不正が無いかを徹底的に調査されます。そこで法人税申告業務の法人税中間申告・納付についてご紹介を致します。
法人税中間申告・納付
前年度実績による予定申告
事業年度が6か月を超える企業は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2カ月以内に、以下の算式で計算した法人税額を申告納付しなければなりません。
前事業年度の法人税額 × 6 / 前事業年度の月数
実務上は税務署から送付されてくる「予定申告書」ち前期の確定申告書の金額照合を行い、申告納付するだけで手続きが完了します。
したがって、実務上は、簡便性の観点から前年度実績による予定申告を採用する企業が一般的であると言えます。
なお、上記により計算した金額が10万円以下の場合には、中間申告書の提出は不要です。
仮決算による中間申告
仮決算による中間申告とは、事業年度開始の日にちから6か月間を事業年度とみなして、その期間の所得金額または欠損金額に基づいて法人税額を計算し、申告納税する方式をいいます。
下期に役得が上がる傾向にある企業の場合には、仮決算による中間申告を行うことによって、前年度実績による予定申告よりも納税額を減少させることができるため、資金繰りを考えた場合には大きなメリットがあります。
一方で、仮決算による中間申告の場合、確定申告と同様の別表の作成が必要となるため、作成に必要なコストが上記のメリットに見合うかどうかを検討することが重要です。
なお、前年度実績による予定申告とは異なり、仮決算による中間申告により計算した金額が10万円いかの場合でも、申告納税が必要となります。
但し、納税額が前年度実績による税額より大きくなる場合、仮決算による中間申告は出来ません。
中間申告書を提出しない場合
提出期限までに中間申告書の提出がない場合には、その提出期限において前期実績による予定申告書が提出されたとみなされ、罰則規定はありませんが、期限後の提出は一切認められないことになります。
従って、実務上は中間申告書の提出を行わない場合もありますが、納税については免除されるわけではないので、納税を忘れることがないように注意する必要があります。
ワンポイント
申告期限の延長
法人税には、申告期限の延長という特例制度があり、申告期限を1か月延長することができるため、3月決算で特例を受けている法人は、6月までに申告書を提出することになります。さらに、会計監査人を設置している場合で、かつ、定款の定めがある一定の会社は、申告期限を4カ月延長することも出来ます。ただし、中間申告の際には、この制度は適用されないため、提出期限に遅れた場合は、前期実績による予定申告書が提出されたものとみなされますので注意が必要です。
まとめ
税務申告とは企業が法人格として行うべき税金の申告業務です。“法人格が行う確定申告”と言うと、少しわかりやすいかもしれません。個人事業主の場合、確定申告では個人事業主税や住民税、消費税など複数の税金申告をします。
法人税は、法人の所得(利益・損失)に対して課せられる税金です。各事業年度の収益から、損失や費用を控除して算出される企業会計上の利益に、法人税の調整を加えて所得を算出します。算出した所得に税率をかけた金額が税金額として確定します。
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