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連結納税申告業務についてご紹介~連結納税基礎~

経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。企業グループの一体性に着目して、企業グループを1つの法人のようにとらえ、企業グループ内の法人の所得と欠損を通算して所得を計算して法人税を課税する仕組みをいいます。 企業グループ内に黒字会社と赤字会社がある場合には、その損益が通算されるので大きな節税効果があります。そこで連結納税申告業務の連結納税基礎についてご紹介を致します。

連結納税制度とは


 連結納税とは、企業グループを1つの納税単位として申告納付する制度で、平成14年度の税制改正において初めて導入されました。
現行の法人税の課税は、従来通り単一の法人が申告納付を行う単単体納税と連結納税の二本立てとなっています。原則的には、単体施納税制度適用することになりますが、企業グループの判断により連結納税制度を任意に選択することも可能です。

 

申請書の提出


 連結納税制度を選択する場合には、原則として、適用開始しようとする親法人事業年度開始日の3か月前までに国税庁長官に対して申請書を提出し、その承認を受ける必要があります。この申請は、親法人すべての100%子法人の連名で行わなければなりません。

また、承認申請に加わった子法人は、遅滞なく、書面により、その胸を所轄税務署長に届け出る必要があります。

 

適用範囲


 連結納税の適用範囲は、内国法人(国内に本店または主たる事務所のある法人)である親法人と、その親法人に発行済株式総数の100%を直接または間接に保有される内国法人である子法人になります。

注意すべきは、連結納税制度で記載しました通り、連結納税制度を採用するかどうかは自由ですが、連結納税制度を採用する場合、要件を満たす子法人は全て強制的に連結納税制度の適用を受けることになる点です。

つまり、一部の子法人のみ連結納税制度を適用することは出来ないので、導入にあたっては注意が必要です。

 

継続適用


 連結納税制度を採用した場合、継続適用が原則となります。連結納税採用後に取りやめることは、連結納税の適用を継続し難いやむを得ない事情がある場合(連結納税の適用を継続することにより事務負担が著しく荷重になると認められる場合など)にしか認められません。

したがって、租税負担の面で単体納税の方が有利だからという理由では取止めは認められないので、連結納税の採用に当たっては注意が必要です。なお、取止めにあたっては、国税庁長官に申請書を提出し、その承認を受ける必要があります。

 

連結事業年度


 連結事業年度とは、連結納税をするための計算期間をいいます連結事業年度は、原則として、連結親法人年度開始の日からその終了の日までの期間とされます。

注意すべきは、連結事業年度は連結親法人の事業年度であって、連結子法人の事業年度を連結事業年度とすることはできない点です。

例えば、連結親法人が3月決算、連結子応身が9月決算である場合、連結事業年度は親法人の事業年度である4月1日から3月31日までとなります。この場合、連結子法人は9月決算であるので、会社法上はこれをもとに計算書類を作成することになりますが、税務申告についてはこれとは別に、連結親法人の事業年度に合わせて3月で区切って(みなし事業年度)対応する必要があります。

 

地方税・消費税


 連結納税制度は国税である法人税において作られた制度であり、地方税である法人事業税と法人住民税について適用はありません。したがって、法人税について連結納税を適用している場合であっても、これら地方税については各法人が個別に申告、納付する必要があります。

 しかし、法人ごとに申告すると言っても、まったく連結納税の影響を受けないということではありません。すなわち、法人事業税(所得割)の課税標準は法人税の課税所得金額とされており、また法人住民税(法人税割)の課税標準は法人税額とされており、これらの課税標準については、連結納税制度のもとで算定される連結所得の個別帰属額(法人事業税の所得割)や連結法人税の個別貴族額(法人住民税の法人税制)がそれぞれ課税標準となります。
また、事業年度についても、連結納税における十容年度に従って申告することになっています。

 消費税についても、連結納税の適用はありません。従って、法人税について連結納税が適用される場合であっても、各法人が個別に税額を算定のうえ、申告、納付することになります。なお、課税期間については、原則として法人税の事業年度と同じ期間とされています。

 

準備


 連結納税制度の採用はに二であり、その判断は連結グループの良しにゆだねられています。採用するか否かの判断にあたっては、次の諸点について考慮する必要があります。

①連結納税グループの範囲

 特に留意すべきは、連結財務諸表制度が採用されている場合、連結納税制度の範囲と連結財務諸表制度の範囲は異なる点です。

②連結納税採用時の個別制度の影響

 とくに連結納税摘要開始時の時価評価の有無や繰越欠損金の引継ぎの有無、単体納税とは取り扱いが異なる受取配当金、寄付金、交際費、税率等については、事前にその影響についてグループ各社の利益や欠損の発生状況や今後の見込みを含めて検討する必要があります。

③事務手続き全般の見直し

 連結納税制度は連結親法人を主体として複数の法人をその適用範囲に含めることになるので、各法人の事業年度や会計往診、会計データの管理状況、各法人の担当部署の設置や協力関係の構築など、事務手続き全般を見直す必要があります。なお、事業年度については必ずしも親法人に統一する必要はないですが、連結納税摘要後の事務手続きを考慮すると事前に統一することが好ましいと言えます。

 

グループ法人税制


 グループ法人税制とは平成22年度税制改正で導入されたもので、原稿の単体課税のもと、所得通産までは行わない一方、グループ内取引やグループ法人のステータスについてグループ経営の実態を反映させることを目的として新たに創設された制度です。

こちらは連結納税のように申請等により任意に選択するものではなく、100%資本関係のあるグループ内に関して強制的に適用されます

<主な改正内容>

①100%グループ内法人間で行われる取引について

 平成22年10月1日以降、100%グループ内の内国法人間で一定の資産(固定資産、土地、売買目的有価証券を除く有価証券、金銭債権、繰延資産のうちぼ化学1,000万円以上のもの)の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益は、グループ内の移転時点においては繰り延べることとなり、グループ外へ移転等をしたときに繰り延べられた譲渡損益が実現することになります。

②大法人の100%支配子法人に係る中小企業向け特例措置の適用の見直し

 大法人(資本金5億円以上)の100%子法人は、子法人の資本金が1億円以下の中小企業であっても中小企業の特例の適用が不可となっています。適用できなくなる中小企業の特例は、交際費の損金算入の特例、軽減税率、特定同族会社の特別税率の不適用、貸倒引当金の法定繰入率、欠損金の繰り戻しによる還付制度、欠損金の繰越控除制度における全額控除です。

 

まとめ


 税務申告とは企業が法人格として行うべき税金の申告業務です。“法人格が行う確定申告”と言うと、少しわかりやすいかもしれません。個人事業主の場合、確定申告では個人事業主税や住民税、消費税など複数の税金申告をします。
法人税は、法人の所得(利益・損失)に対して課せられる税金です。各事業年度の収益から、損失や費用を控除して算出される企業会計上の利益に、法人税の調整を加えて所得を算出します。算出した所得に税率をかけた金額が税金額として確定します。

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