経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。在庫管理は企業を支える土台となるものであり、この土台がしっかりしていないないと、企業の経営は上手くいきません。モノを売る企業で、在庫や在庫管理の意味や必要性を理解しておくことは、必須といっても過言ではありません。今回はそんな在庫管理についてご紹介を致します。
残高管理
様々な在庫管理
企業では、様々なものの在庫管理が必要になります。商製品、仕掛品、原材料に始まり、はては備品や文房具等々です。効率的な企業活動を行う上では、在庫管理という考えが必要不可欠になります。ここでは、その中で棚卸資産の在庫管理について説明していきます。
棚卸資産の管理方法
棚卸資産の管理方法としては、主に3つの方法があります。
①現物管理
実物の数量を直接管理することを現物管理といいます。必要な手順として、入荷時における納品書と現物との照合、および出荷時における出荷伝票等と現物との照合があります。
②帳簿管理
これに対し、納品書、請求書、出庫伝票などの証憑に基づいて残高を管理する方法を帳簿管理といいます。棚卸資産の入出庫をタイムリーに帳簿に記帳し、残高を会計システム等に反映させます。
③実地棚卸
事業年度の終了時に、実際に現物を数えて点検する手続きを実地棚卸といいます。最低でも年に1回は行う必要がありますが、企業によっては、毎月、実地棚卸を行うこともあります。
実地棚卸は、次項目で詳細に説明致します。
実地棚卸
①実地棚卸の目的
実地棚卸の目的としては、主に2点があります。
●数量の確定
●在庫品質の確認(滞留品や不良品の把握等)
帳簿管理だけでは正確な残高の把握は難しく、また品質の確認までは出来ません。棚卸で実際の数量を把握し、滞留品や不良品等の有無を確かめ、適切に評価するとともに、帳簿残高と照合して実在する棚卸資産の残高を確定させることになります。
②実地棚卸の手順
実地棚卸の手順の一例として、以下のようなものがあります。
●帳簿残高の確認
帳簿上の在庫残高を確認する。
●実地棚卸報告の確認
実地棚卸結果の報告内容を確認する。
●残高照合・検証
帳簿残高と実地棚卸残高の照合・検証を実施し、必要に応じて内容の確認も行う。
●差異原因の究明
帳簿残高と実地棚卸残高の際内容の原因を究明する。
●報告データの修正依頼
差異の究明結果も踏まえて、実地棚卸結果を報告する。
帳簿残高と実地棚卸残高が一致していれば問題ありませんが、実際には必ずと言っていいほど一致していません。その場合は、帳簿残高を実地棚卸残高に合わせることになります。
棚卸資産管理の意義
企業は棚卸資産を販売することにより収益を得ることができ、また棚卸資産の管理を行うことにより顧客の必要とする量の棚卸資産をタイムリーに、良好な品質で販売できます。さらに、デッドストック(資産価値のない売残品)の発生を防ぐことも可能となり、余分な経費の発生を抑えることが出来、会社はより大きな収益を得ることが可能となります。
ポイント
棚卸減耗損
実地棚卸の結果、帳簿残高に対して不足が生じた場合、原因を究明しますが、判明しない場合は実地棚卸高に合わせ、差額は費用処理することになります。これを棚卸減耗損といいます。
まとめ
このように、モノを売る企業にとって在庫管理はとても大切なのです。この在庫管理をないがしろにしてしまうと、企業としての信頼を失うってしまう可能性もあります。この機会に、一度自社の在庫管理を見直してみてください!