経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。企業がその事業活動の用に供するために1年以上の長期にわたって使用または利用する目的で保有する資産を言います。固定資産は、有形固定資産・無形固定資産に分かれ、そこからさらに減価償却資産・非減価償却資産に分けられます。今回は固定資産のリース管理についてご紹介を致します。
リース管理
リース取引の種類
固定資産を自社で取得するのではなく、リースによって利用することがあります。
リース取引とは、物件の所有権者が貸手となり、リース期間にわたってリース料を徴収することにより、物件の仕様による経済的利益を借手に与える取引を言います。
リース取引は、大きく分けてファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類されます。
①ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引とは、リース期間の中途において契約を解除することが出来ないこと(中途解約不能)、リース会社がリース資産を使用するにあたって生じるコストをほぼ全額借手が負担すること(フル・ペイアウト)の2要件を満たすリースを言います。
ファイナンス・リース取引は、リース期間終了後に所有権が移転するか否かにより、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に区分されます
リース資産の管理
リース資産については、所有権は貸手であるリース会社にありますが、借手であるユーザーがその資産を利用するため、自社においてリース資産の管理をする必要があります。
①台帳の作成と現物管理
自社所有の固定資産の管理と同様に、台帳及び現物の管理をする必要があります。リース資産台帳には、資産番号、名称、リース契約日、リース料支払日、リース料支払額、設置部署、管理部署などを記載します。
また、台帳管理だけではなく、定期的な実査等、現物も管理する必要があります。
②リース管理における留意点
リースは、物件が搬入され、ユーザーが瑕疵(欠陥)の無いことを確認し、リース会社に物件借受け証を発行した時から開始しますが、その後にリース資産に欠陥が見つかっても、ユーザーはリース契約の解除をすることはできません。
また、リース資産の保守・修繕義務は、原則として利用者であるユーザーにあります。
さらに、リース資産が契約の中途においてリース会社、ユーザーのいずれの責任にもよらない自由で滅失、既存した場合、その損害はユーザーが負担することになっています。
ポイント
リース取引の種類
●ファイナンス・リース取引
①中途解約不能
②フル・ペイアウト
●オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース取引以外のリース取引
●メンテナンス・リース取引
リース会社が物件の保守、管理、修繕を行うリース
リース資産の管理の会計基準
平成20年4月1日以後に開始する事業年度より、リース会計基準が適用になっています。
①内容
所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、一定の注記を要件として賃貸借処理が認められていましたが、原則として売買処理となっています。従来の処理では、リース取引は資産・負債を計上しない(オフバランス)ものが、適用後は資産・負債を計上する(オンバランス)こととなります。
②対象となる会社
対象は、上場会社など、会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円いじょうの会社)および連結子会社・特分法適用会社です。
上記以外の中小会社は、引き続き従来通り、賃貸借処理が可能となっています。
③例外
以下の取引に関しては、引き続き賃貸借処理が可能となっています。
- 1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引
- リース期間が1年以下のリース取引
- 個々のリース物件のリース料総額が、購入時に一括費用処理する基準額以下(少額資産)のリース取引
また、リース会計基準適用初年度開始前のリース取引に関しても、引き続き賃貸借処理が可能となっています。
まとめ
以上のように、固定資産には国や地方から多くの税金が課せられますが、経理処理は税目や支出の内容によって「固定資産の取得価額に含めなければならない資産」「資産計上と損金経理いずれも認められる資産」「損金経理する資産」とさまざまです。まずは税法上の取扱いを正しく理解した上で、会社の財務内容(赤字、黒字)に応じた経理処理を選択する必要があります。
下記で固定資産管理についてまとめ記事を作成しておりますので、ご参考までにご一読ください。
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