『利は元にあり』といわれるように、仕入先に対する支払こそ優先するべきであり、仕入先から提供される信用こそが、企業が危機に陥った時の最後の拠り所になります。支払を悪くしていると、仕入先との信頼関係が築けず、危機が乗り越えられません。購入する商品・製品のサービスの品質、価格、納期だけでなく、支払条件の長短により、仕入先や外注先を選定することは大事です。しかし、相手に求める前にまずは、自分たちが払うべきものをしっかり払うという姿勢と取り組みが重要です。
債務残高管理
債務残高の確認と管理
買掛金や未払金等の債務の残高確認は、全仕入れ先に対して個別に行う必要があります。債務残高を適切に管理し、支払いの遅延、二重支払い、取消ミスが起こらないようにしなければなりません。そのため、毎月の締切日には、前月残高、当月仕入れ高、当月支払高を整理して、仕入れ先別に期日別債務管理表を作成して残高を確定します。そして、仕入れ先からの請求書などと子の残高を照合し、一致していることを確認します。
照合の結果、残高に不一致が生じた場合には、訂正手続きをとるとともに、誤りが再び生じないよう原因を追及し、実施手順等の見直しを検討します。
誤りが起こる原因としては、主に次のことが考えられます。
- 返品や値引き等の手続き・連絡漏れ
- 請求書の誤り(値引き等の記載漏れ、数量・単価の違い等)
- 会計処理の誤り(二重計上・相手先違い・金額違い等)
支払管理
買掛金などの支払い方法は、現金払い、手形払い、小切手払い、銀行振込み等がありますが、どのように支払うかは、資金繰りのうえで極めて重要な問題となります。そこで、支払い状況の把握が常に必要となります。
支払い状況は、期日別債務管理表等を活用し、決められた決済条件により支払われていないもの、長期にわたって未決済になっているものがないかを把握し、その原因を調べた結果、自社に原因がある場合には早急に所定の条件通りに支払います。また、内部牽制の観点から、支払業務は仕入計上とは別の担当者が行うことが望まれます。
内部牽制
支払管理業務を進めるうえで、内部牽制を図る方法として有効な手段は以下のようなものがあります。
①債務残高の照合作業
仕入先に、自社の債務残高の問い合わせを定期的に行います。経理部門から仕入れ先に債務残高を確認することで、購買部門に対する内部牽制が有効になります。
②滞留買掛金の調査
売掛金と同様に買掛金も滞留しているものについて調査を実施し、原因の究明を図ります。記入誤りなどが原因であることも考えられますが、最悪の場合には、架空仕入れである可能性も考えられます。
まとめ
お金に困らない経営をしたいと思っても、いつ、どれだけ支払わなければいけないのかがわからなければ、対策は打てません。資金繰りが厳しい会社であればなおさら、日単位、週単位、月単位でいくら支払予定があるのかがわかれば安心でしょう。債務管理を行うことで、お金の流れがわかるようになり、早めの対策を打つことができるようになります。