経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。ソフトウェアは無形固定資産の1つです。産業の中心が製造業からITに移っていく中で、会計上の重要性も高まっています。「研究開発費等に係る会計基準」においてソフトウェアは、その制作目的に応じて、自社利用目的のソフトウェアか販売目的のソフトウェアに分類されます。今回はソフトウェア管理の制作についてご紹介を致します。
ソフトウェア制作
ソフトウェアの範囲とは
ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラムなどのことを言い、その範囲は以下の通りです。
- コンピュータに一定の仕事を行わさせるプログラム
- システムの仕様書、フローチャート等の関連文書のプログラム
ソフトウェアを制作する場合には、その目的がなんであるか、採算はとれるのかなどのシミュレーションを行い、分析が必要です。その上で、ソフトウェアの政策実行に移ります。
ソフトウェアに関しては、制作目的の違いにより、その資産区分や会計処理が異なります。
制作目的
ソフトウェアについては、制作目的により、費用処理をしたり、固定資産の計上をしたり、ソフトウェアの完成後の処理区分が異なってきます。そこで、ソフトウェアの制作目的を確認しておくことは、非常に重要なポイントになります。
ソフトウェアの制作目的には、以下のようなものがあります。
①受注目的
特定のユーザー向けにソフトウェアを制作し、納品することを目的とします。
②販売目的
不特定多数のユーザー向けに開発した各種ソフトウェアを納品することを目的とします。
③自社利用目的
自社の社内業務などに使用する目的で制作します。
制作目的による会計処理の違い
ソフトウェアの会計処理は、制作目的によって異なります。
目 的 | 会計処理 | ||
---|---|---|---|
受注目的 | 請負工事に準じて
・未完成品 ・完成品 |
||
研究開発 | 研究開発費 | ||
研究開発以外 | 販売目的 | マスター製作費 | |
上記以外 | ソフトウェア | ||
自社利用目的 |
なお、会計処理をした場合でも、税務上は無形固定資産のソフトウェアに該当することもあります。
研究開発のためのソフトウェア
研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探求を言います。また、開発とは、新しい製品・サービス、生産方法の計画などについて、研究の成果やその他の知識を具体化することとされています。
研究・開発の具体例として、従来にはない製品・サービスに関する発想を導き出すための調査・探求などがあります。
ポイント
税務上の扱い
自社利用のソフトウェアについて、将来の収益獲得に貢献しないものとして皆生上費用処理をしたものについては、税務上は無形固定資産の扱いとなります。
この場合には、会計上と税務上の間で利益に差額が生じてしまうため、税務申告上は一定の調整を行うことになります。
まとめ
以上のように、ソフトウェアを外部から購入したときの取扱いは、他の固定資産と大きく変わりませんが、除却したときは、後々問題とならないように、除却時点が適正であることを示す記録を残しておくように注意しましょう。
自社でソフトウェアを開発するときは、開発費用を集計しなければならないので、事前にその準備をしておかなければなりません。労務費などが適正に集計されていなければ、後々税務調査などで問題となる可能性があります。