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有価証券管理についてご紹介~残高管理~

 経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。財務管理の目的は、「会社に必要な資金をどのように調達して」「その資金をどのように運用していくか」の施策を考えて、企業価値を上げるために実行していくことにあります。経理は会社内で発生した取引に関して、仕訳を通して、記録計算することが業務になるため、財務計画の立案から資金の調達と運用がメインである財務管理とは異なる業務になります。有価証券運用信託とは、有価証券の管理のほかに、受託した有価証券を運用して収益をあげることを目的とする信託です。 運用方法としては、有価証券を第三者に貸し付けて貸付料を得るのが一般的です。そこで有価証券管理の残高管理についてご紹介を致します。

有価証券の区分

 有価証券はその目的や属性によって会計上次の区分が定められそれぞれ会計処理の方法や財務諸表への表示が決められています。

①売買目的有価証券

 短期間の価格変動によって利益を得ることを目的として保有する有価証券のことをいい、いわゆるトレーディング目的の有価証券を指します。

②満期保有目的の債券

 満期まで保有することを目的として保有する社債その他の債券をいいます。

③子会社株式および関連会社株式

 子会社株式や関連会社の株式をいいます。

④その他有価証券

 上記①~③以外の有価証券が該当します。たとえば、長期目的な時価の変動で利益を得ようとする目的のものや、業務提携の目的で所有されるものがあげられます。

 

有価証券の取得

 有価証券を取得する場合には、担当者が稟議書を作成します。そこには取得目的が短期の運用目的であるのか、中長期に及ぶものなのかなどを記載し、投資対象の有価証券の利回りや格付けなどの資料を添付します。
この稟議が認められたあとに、有価証券の取得が行われます。

 

有価証券の売却

 有価証券を売却する場合も、取得する場合と同様に担当者が稟議書を作成します。そこには売却予定額や売却損益、資金使途などが記載されているので、株式市場の状況を確認し、記載された条件で売却が可能であるか確認する必要があります。

 

会計処理

有価証券を取得した場合の会計処理は、購入金額に手数料などの付随費用を加算した金額をもって取得評価額とします。取得の原因が贈与、交換による場合には、時価をもって取得価額を認識します。
有価証券を売却した場合には、1単位当たりの取得価額の算出が必要になり、算出に当たっては、総平均法もしくは移動平均法により計算します。

◎総平均法◎

 総平均法は同一の銘柄ごとに、期首の取得価額の合計額と期中に取得した取得価額の合計額を総数量で除して平均単価を計算する方法です。
この方法は、期末にならないと平均単価を計算できないという欠点があります。

平均単価=(期首の取得価額の合計額 + 期中取得価額の合計額) ÷ 期首数量 + 期中取得数量

 

◎移動平均法◎

 移動平均法は、同一銘柄を取得することに、その取得価額と残高金額を合計し、取得数量と残高数量の合計で除して新しい平均単価を計算する方法です。

 

有価証券の残高管理

 有価証券は、有価証券台帳を作成し残高管理を行います。有価証券台帳は銘柄ごとに管理し、所有数・取得価額・売却価額・評価替え等に変動があった都度記載します。

 有価証券の現物は、外部に管理を委託している場合と、自社内で管理をしている場合があります。

 外部に管理を委託しているものについては、委託先からの預かり証明書と有価証券台帳を照合し、もれなく記載されていることを確認します。
 自社内で保管しているものについては、あらかじめ保管場所を社内で定めるとともに定期的に実査を行います。有価証券現物と有価証券台帳と照合し、差異が生じた場合には原因を追究し残高を一致させます。

 

まとめ

 資金の仕事をご紹介が、財務部門が必要とするスキルは、調達の有無と手段を決定する判断力(返済の見積もり計画、会社の財務状況の分析、調達する資金の用途別内訳、そもそも実現可能なのかなど)と金融機関に対する折衝力になります。

 有価証券の信託は、信託契約により有価証券を信託銀行等に信託する信託です。
有価証券の信託には、有価証券の管理事務の軽減を目的とするものや、保有する国債等を貸し出すことにより運用収益を得る目的とするもの、インサイダー取引等の防止のために株式の売却を目的とするものがあります。

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