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デリバティブ取引管理についてご紹介~会計・税処理とリスク管理方針~

 経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。財務管理の目的は、「会社に必要な資金をどのように調達して」「その資金をどのように運用していくか」の施策を考えて、企業価値を上げるために実行していくことにあります。経理は会社内で発生した取引に関して、仕訳を通して、記録計算することが業務になるため、財務計画の立案から資金の調達と運用がメインである財務管理とは異なる業務になります。デリバティブとは金融派生商品のことであり、目的に応じて様々な金融商品により構成されます。具体的には先物取引、スワップ取引、オプション取引等が該当しますが、これらは金利や為替相場等の変動により価値が変動するという特徴があります。今回は、デリバティブ取引管理の会計・税処理とリスク管理方針についてご紹介を致します。

会計処理の原則ー時価評価

 デリバティブ取引を行っている場合には、期末時に保有しているデリバティブを時価評価して、評価益または評価損を会計上計上します。この処理は、株式を公開していない中小企業にも求められます。

時価評価をするにあたっての時価は、上場しているデリバティブであれば、市場価格に基づく価額となります。非上場のデリバティブの場合は合理的に算定される価額が時価となり、通常は金融機関などが算出した価額を使って評価損益を計上します。

 

容認される会計処理ーヘッジ会計

 ヘッジ目的でデリバティブ取引を行う場合に、リスク管理の方針が適切に文書化されたうえでの取引の結果、デリバティブによって評価損益を繰り延べることが出来ます。このように、評価損益を繰り延べる処理をヘッジ会計といいます。

 

会計処理

  • 原則
    時価評価
    評価損益が計上される
    中小企業も同様

    金利の上限を設定する取引。ギャップの水準を超えた場合は、キャップの買手は売手から超えた分の金利を受け取ることが出来ます。

 

  • 特例
    ヘッジ会計
    評価損益は繰り延べられる
    リスク管理方針があることが前提

 

税務上の取り扱い

税務上の処理も、会計上の処理と同様に時価評価をすることが求められます。しかし、ヘッジ会計を適用する場合には、税務上は帳簿書類にヘッジ取引であることや、ヘッジの対象となる資産などをデリバティブ取引が行われた日に記載することが必要です。

税務処理

◎原則として会計と同様

◎ただし、税務上は帳簿への記載が要件

 

リスク管理方針の策定

 ヘッジ会計を適用するには、リスク管理方針を明確化することが必要となります。リスク管理方針には、リスクの内容、ヘッジ手段として何を用いるか、ヘッジ手段の有効性の検証方法等を記載する必要があります。

①リスクの内容

 リスク管理の対象となる内容としては、為替変動リスク、金利変動リスク、株式の変動リスクなどがあります。

②ヘッジ手段

 ヘッジ手段として何を使うかということを文書化します。例えば、借入金の利息に関して、金利スワップといった商品で対応するということです。

③ヘッジの有効性の検証方法

 リスクに対してヘッジ手段が有効的に機能しているかどうかを測定する方法を定めて、当初定めた有効性を敵的に検証する必要があります。

 

ヘッジ有効性の評価

 ヘッジ取引のヘッジ有効性を評価する際は、事前テストと事後テストの2つのテキストを行う必要があります。

①事前テスト

 ヘッジ取引の開始時にリスク管理方針に従っているかどうかを確認します。確認の方法としては、文書化されたものの内容の確認、内部牽制組織が適切に運営されているかどうか(実際に、デリバティブ取引を行っている部門の取引内容を独立した他の部門がチェックしているかどうか)の確認があります。

②事後テスト

 ヘッジ取引開始後に、定期的に有効性の確認を行う必要があります。有効性の確認を行う頻度としては、決算日は必ず行い、加えて少なくとも6か月ごとに必要です。ヘッジの有効性割合が80%から125%であれば有効であると判断されます。

 

まとめ

 今回は、デリバティブ取引についてご紹介を致しました。なかなか馴染みの無い方も多いかもしれません。デリバティブ取引は、主に、ヘッジ目的、投機目的、裁定目的で利用をされます。何のために利用されるのかなどをしっかりと理解しておくことで会社の財務管理業務を行っていくことでプラスになることがあります。

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