人事評価の実務全般にわたって解説を行ってまいります。今回は、ノウハウものではなく、出来るだけ、ノウハウの背景にある人事評価の概念や考え方にさかのぼって理解してもらうことを試みていきたいと考えております。ノウハウは、当座の問題解決には便利ですが、状況が目まぐるしく変わる現在にあって、様々に発生する人事評価の諸問題を自律的に解決していくための知恵を与えてくれません。私は、人事評価にかかわる人が、自分の頭で人事評価の諸問題を考えて結論を出してほしいと思っています。また、そういう思考力をこそ鍛えるべきであると考えています。今回はそのための教科書となるような内容をご紹介できればと考えております。
人事評価はマネジメントの基本
人事評価は人が人をマネジメントするための手段の一つ
人事評価の基本中の基本は、人事評価が「人が人をマネジメントするための手段の一つ」であるということです。まずは、これを忘れないでください。
「神様でもないのに、人事評価などできるわけがない」と話す管理者は、まずここから学ばなければならなかったのです。企業の事業運営をよりよくするために、経営陣も管理者も様々なマネジメント行動をとることになります。このマネジメント行動の一つに人事評価というものがあると、まずうは押さえてください。部下を評価するというのは、部下の成果や能力、態度(情意)を評価することですから、ある一定の評価期間における部下の行動を信賞必罰の考え方でまとめて総括し、今後もっとよりよくしていくための機会にしようとするものですそういう意味で、「人が人をマネジメントするための手段の一つ」といっているわけです。
人事評価というのは、半年や1年といった評価機関の単位で1サイクルずつ回すという公式行事です。人が人をマネジメントしていくと手段として、この公式な行事です人が人をマネジメントしていく手段として、この公式な行事とセットで動かすことで、その日常のマネジメントの効果を大きくしようとしているわけです。
下記のイラストのように、人事評価を軸にして、「方針(期待)が見えるよう」ようにし、「やる気が出る」ように司、「信賞必罰を感じる」ようにすることで、仕事を成功に導き、仕事の達成感を獲得できるようにしていくことが、大切な点です。その際の人事評価には、大きく分けると三つのジャンルがあります。
- 「目標管理・成果評価」によって目標を持たせることに貢献するジャンルです。
それによって、組織としての「方針(期待)が見える」ようになります。 - 「能力評価」によって、能力を付けさせるのに貢献するジャンルです。
- 「情意(態度)評価」によって真面目に働かせるように持っていくジャンルです。
②、③を通じて、活動能力が強化され、「やる気が出る」ことに貢献します。また、この三つの評価の結果、給与や賞与などの賃金格差、昇格・昇進などの格差が出てきますので、金銭面・ポスト面などで明確な「信賞必罰を感じる」ようになります。これらのことは、ビジネスパーソンとしての達成感に直接影響を及ぼします。
菜にはともあれ、マネジメントの手段としては、人事評価はかなり公式なものであり、かなりハードな部類に属するとみて間違いありません。
まとめ
人は正当な評価がされないとモチベーションが下がり、やる気を失います。人事評価は査定の場ではなく、社員の成長を促し、先々の高いパフォーマンスにつなげていく仕組みです。仕組みをよく理解したうえで人事評価を行えるようにしていきましょう。人事評価はマネジメントの基本であることを頭に置き、時代に合った人事評価の習慣をしっかりと理解し、実践していくことが、管理者には必要です。