経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。財務管理の目的は、「会社に必要な資金をどのように調達して」「その資金をどのように運用していくか」の施策を考えて、企業価値を上げるために実行していくことにあります。経理は会社内で発生した取引に関して、仕訳を通して、記録計算することが業務になるため、財務計画の立案から資金の調達と運用がメインである財務管理とは異なる業務になります。有価証券運用信託とは、有価証券の管理のほかに、受託した有価証券を運用して収益をあげることを目的とする信託です。 運用方法としては、有価証券を第三者に貸し付けて貸付料を得るのが一般的です。そこで有価証券管理の評価についてご紹介を致します。
会計上の評価
有価証券の会計上の評価は、次の区分に応じて定められています。
①売買目的有価証券
売買目的有価証券は、事業年度終了の日における取引価格によって評価します。帳簿価格と時価との差額は、当期の損益として処理します。
②満期保有目的の債券
満期保有目的の債券は、原則として取得原価(5年償却)を950円で購入した場合には、その差額の50円を償却期間の5年にわたって、年間10円ずつ当初の帳簿価格の950円に加算していくこととなります。
③子会社株式および関連会社株式
子会社株式および関連会社株式は、事業投資と同様に考え、取得価額により評価(減価基準)を行います。従って、子会社が上場しており、決算時の価額が変動したとしても、財務活動の成果とは認識せずに取得価額により評価します。
④その他有価証券
その他有価証券の評価は、時価基準により評価します。但し、損益計算書上は影響せず、貸借対照表の純資産の部に評価差額が認識されます。
税務上の評価
税務では有価証券を売買目的証券と満期保有目的有価証券に分け、これ以外のものをその他有価証券と定めています。
会計と税務はその他有価証券の評価が大きく異なるので、注意が必要です。
①売買目的有価証券
税務上、売買目的有価証券の評価は、会計と同様に時価法により評価します。
②満期保有目的等有価証券
会計と同じように、償却原価法に基づく原価法の評価を行います。
③その他有価証券
原価法による評価を行います。
その他有価証券の評価について、会計上の評価は「時価評価」とされているので注意が必要です。
減損処理
回復する可能性が認められない時価の著しい下落があった場合、時価をもって貸借対照表評価額とし、その差額を当期の損失として取り扱う会計処理方法を減損処理といいます。
これは会計上、税務上それぞれ取り扱いが多少異なり、その判断基準が決められています。
また、売買目的有価証券は、時価評価を行うため、必ず決算期に評価替えが行われます。従って、毎期損益に反映されているため、この対象とはなりません。
まとめ
資金の仕事をご紹介が、財務部門が必要とするスキルは、調達の有無と手段を決定する判断力(返済の見積もり計画、会社の財務状況の分析、調達する資金の用途別内訳、そもそも実現可能なのかなど)と金融機関に対する折衝力になります。
有価証券の信託は、信託契約により有価証券を信託銀行等に信託する信託です。
有価証券の信託には、有価証券の管理事務の軽減を目的とするものや、保有する国債等を貸し出すことにより運用収益を得る目的とするもの、インサイダー取引等の防止のために株式の売却を目的とするものがあります。