経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。財務管理の目的は、「会社に必要な資金をどのように調達して」「その資金をどのように運用していくか」の施策を考えて、企業価値を上げるために実行していくことにあります。経理は会社内で発生した取引に関して、仕訳を通して、記録計算することが業務になるため、財務計画の立案から資金の調達と運用がメインである財務管理とは異なる業務になります。有価証券運用信託とは、有価証券の管理のほかに、受託した有価証券を運用して収益をあげることを目的とする信託です。 運用方法としては、有価証券を第三者に貸し付けて貸付料を得るのが一般的です。そこで有価証券管理の有価証券運用についてご紹介を致します。
資金計画の確認と運用方針
企業では中長期の運用目的で有価証券を購入することがあります。この場合には、中長期資金計画のもとで、資金運用方針に従って実施します。
資金運用の基本方針は、中長期の資金計画をもとに運用可能な期間や金額を設定します。ここでは手元資金として確保する金額や運用先、具体的な運用商品を決定することとなります。投資の実行の際には市況状況を考慮し、銘柄、金額、運用期間を決めていきますが、同時にリスクの分散、投資先の安全性、インサイダー取引に該当しないかどうか確認します。
投資商品の概要と特徴
投資の対象となる有価証券には、大きく分類して次の3つがあります。
①債券
債券は、発行されるときに決定された利回りが満期まで支払われる商品です。債券は、有価証券であるため、他人への譲渡が可能であり、また、期限まで保有すれば、記載されている券面金額を受け取ることが出来ます。満期まで保有することで安定した利回りを得ることが出来ますが、リスクとして、発行元の債務不履行の可能性が挙げられます。
②株式
株式は、配当や値上がり益が期待できますが、その一方で、大きく値下がりする可能性があります。他の有価証券と比べて値動きが激しく、相対的にリスクが高い商品であると言えます。
③投資信託
投資信託は、機関投資家のような運用のプロの手で、投資家から資金を集めて運用されるもので、小口の投資から運用が可能です。
投資信託には、大別すると公社債を対象とした公社債投資信託と株式が対象に含まれる株式投資信託の2つに分けれ有れます。公社債投資信託は、公社債を対象として運用されるため、比較的安全性が高い商品となっています。
1つの商品で収益性、安全性、流動性の全てを満たすことは難しいため、この中から複数を組み合わせることによってリスクの分散を図り、実際の資金運用を行うこととなります。この投資先に対する判断指標の一つとして専門会社による格付けがあり、参考とされることがあります。
ワンポイント
格付け
格付けとは、専門会社が企業の財務状況を分析し、財務の返済能力を簡単な記号(AAAなど)で示したものです。格付けを行う会社としては、ムーディーズブックやスタンダード&プアーズが有名です。
格付けは債務の返済能力を示すもので、投資する際の安全性の指標になるものです。従って格付けのランクが高い会社が必ずしも成長性の高い企業っであるとは限りません。
まとめ
資金の仕事をご紹介が、財務部門が必要とするスキルは、調達の有無と手段を決定する判断力(返済の見積もり計画、会社の財務状況の分析、調達する資金の用途別内訳、そもそも実現可能なのかなど)と金融機関に対する折衝力になります。
有価証券の信託は、信託契約により有価証券を信託銀行等に信託する信託です。
有価証券の信託には、有価証券の管理事務の軽減を目的とするものや、保有する国債等を貸し出すことにより運用収益を得る目的とするもの、インサイダー取引等の防止のために株式の売却を目的とするものがあります。